【沢登り】滝本周遊

期間 2024年4月26日~2024年4月28日
目的の山域山名 南紀 滝本周辺 天気 4/27:雨のち曇、4/29:晴れ
登山方法1 ビバーク 登山方法2 前夜発1泊2日
目的1 個人 目的2 沢登り
メンバー(氏名) tano、Sさん(会員外)

記録詳細

多彩な滝と沢が集まる滝本集落周辺で、会員外のSさんと継続遡下降を企画。周辺の沢の顔である滝本本谷を遡行し、尾根を越えて滝本北谷に移動、釣りと焚火を交えて1泊ビバーク。その後はキャニオニングで有名な滝本北谷~静観瀞を下降するという贅沢エンジョイプランです。

天気予報と天気図を1週間前から毎日チェック。最初は大雨予報でしたが、前日には曇りの予報に。これなら行けると決行することに。

Sさんは沢登りは4回目ですが、釣りもやるので、ロープワークはお手の物。出発前にエイトノットとムンターヒッチを確認して出発しました。出発したとたん、小雨が降りだします。気温も低く、テンションも下がっていきますが、傾向としては天気は回復するはずなので、それを信じて行動継続。

早速、この沢の最大の見せ場の一つ「宝竜の滝」が現れます。すごい水量・すごい迫力!二段に分かれた巨瀑で、下段35m・上段45mの80mもあるそう。天気の悪さもあり、霞がかかって本当に竜でも居そう。。。この付近では、那智の大滝に次ぐ大きさだそうです。写真は下段のみ見えてます。

左岸から巻きますが、前日の雨もあって滑るし、木道は朽ちてるしで、この巻きが悪い。30mロープ2ピッチで抜けます。Sさんのムンターヒッチのビレイが早速大活躍。

上段45mの上まで一気に巻き上がったところで雨が本降りに。下降も考えますが、天気が回復傾向であること、増水までまだ猶予がありそうなこと、厳しい高巻きを降りなおすよりは右岸の取水施設の巡視路が降りてくる場所の方が近いことを考え、速足で遡行を続けることに。このため、取水施設までは写真のナメ滝8mと斜滝6×10mのみ。なお、これらの滝をあわせてコッペ滝というそうです。最後の斜滝6×10mは釜の渦が複雑で、泳いではいけない感じでした。たぶん縦渦があって巻き込まれます。

コッペ滝を超えるとすぐに取水口が現れます。取水口からは、立派な巡視路がつけられていますので一安心。継続するか中止するかを相談しましたが、雨が霧雨に、雲が切れてきたこと、そして増水がないことを確認できたので、継続することに。

なお、ここからすぐの場所に平維盛が隠れ住んだとされる藤綱の要害、と呼ばれる屋敷跡があります。立派な石垣の上に広大な平地となっていました。

その後も奥コッペ滝、燈明滝、白滝、ナメゴラの滝と大きな滝が続きます。登れない滝が多く、今日は天気がさえないのが残念ですが、途中にナメもはさみ、気分がいいところ。特に燈明滝は40mの巨瀑で、ボコボコした風化中の花崗岩の上を流れる特徴的な滝でした。

なお、燈明滝の巻きは左岸を上がりますが、白いテープに導かれると登りすぎて沢に降りれなくなりますので要注意。緩斜面を拾いながら、その上の白滝下のナメに出るのが正解。

その後は、今までの過酷な滝越えが嘘のような穏やかな流れに。ナメと河原が続く、桃源郷のような雰囲気です。柱状節理の絶壁滝→風化中のボコボコ滝→ナメの平原という地形の変化が面白いですね。

平和な河原に飽きてきたころに、左から人工の谷のボダバ谷が入ります。この谷の横の巡視路から、今日はコル超えて滝本北谷へ。短いですが、階段が続きちょっとつらいところ。コルから降りていくと沢地形になり、道は右についているものの、私たちはこの沢伝いに降りることに。この沢には滝もなく、ビバーク適地にドンピシャで降りられます。今日はここでビバーク、長かった!

震えながら急いでタープを張り、火起こし。何もかも濡れていて、今日の着火は渋かった!それでも何とか夜通し火を絶やさず(火が弱くなると寒さで起こされながら)朝まで。渓流魚もお目当てのアマゴには逃げられたけど、ハヤが釣れたので焼いて食べました。カリカリにすると以外においしい!

朝、Sさんと体力なども相談して、2日目は静観瀞はやめておこう、ゆっくりいこうと決めて、もう一度竿をだしてのんびり。今度は一匹アマゴが。それにしてもこの辺り、魚も全然すれてなくて、私のヘタな仕掛けにも食いついてくれます。3時間で降れる予定だったので、結局出発は10時半過ぎ、遅すぎ!

北谷を降っていくと、徐々にナメとナメ滝が現れ始めます。ナメ滝は上部の傾斜が緩くても、下部が垂直に近い大きな滝も多いので、下降では地形と遡行図をよく確かめないと危険です。それでも安全そうな場所はウォータースライダーが出来そうな滝を選んで、ずんずん進みます。

亀壺の滝・屏風滝はそれぞれ13m・15mの大きな連瀑。上段の亀壺の滝には右岸にかなりしっかりしたクサリが設置されていました。なぜここだけ?キャニオニングで使われるのでしょうか。屏風滝は、この連瀑の間の平坦地を右岸から左岸にわたって、いったん沢から離れて低いコルを越し、ナメの枝沢をからめて巻き下ります。

その後もナメとナメ滝を繰り返します。途中、崩れた取水口跡が。

さらに下っていくと突如、水を奈落の底に落とすような部屋滝に至ります。今までの爽快・明るいナメ滝群とは全く違う、地獄の底に引き込まれるような不気味な滝です。周りの岸壁も立ち、巻き下るのも一筋縄ではいかなさそう。右から巻き下っていきますが、この水平道を行き過ぎると支流の越前谷に導かれてしまいます。越前谷も15m猿手滝で滝本北谷に出合っているので降れません。越前谷と滝本北谷の間にトラロープがつけられていますが、垂直に近い下降を強いられます。ロープを出すか迷うところではありましたが、今回は同行者の力量もあったので、根をつかみながら慎重に降ることに。

これを過ぎればあとはゴーロの河原で、最後に筆薮滝を右から巻き下り、遡下降終了。初日は天候判断も含め試される沢、2日目は天国のナメ下りと充実した2日間になりました。

4/27

7:00 新宮駅 – 8:20 滝本集落 -準備・ブリーフィング – 10:10 出発 – 10:40 宝竜の滝下 – 左岸巻き – 11:40 宝竜の滝上 – 13:00 取水口 – 13:45 燈明滝 – 15:15 ボタバ谷出合 – 15:50 ビバーク適地

4/28

5:30 起床 – 10:30 出発 – 12:10 亀壺の滝 – 14:00 部屋滝下 – 14:35 筆薮滝下(沢終了)- 14:55 滝本集落

概念図