2011.10.8
テント泊
前夜発2泊3日
個人
日本アルプスの山

剣岳 早月尾根

2011/10/12・提出

期間 2011/10/08~2011/10/10
目的の山域山名 剣岳 早月尾根 天気
登山方法1 テント泊 登山方法2 前夜発2泊3日
目的1 個人 目的2 トレーニング

(コースタイム)
5:20馬場島~8:40早月小屋~2600m~早月小屋~15:00馬場島

 

10月8日 剣岳の早月尾根へ行って来ました。軽い荷物で日帰りのつもりで出発したのですが途中で出会った人から凍結のため2500mから引き返してきたと聞き、やはりだめかなとあきらめ気味になる。今回は限界に挑戦するつもりで休憩なしで早月小屋を目指す。とはいいつつも1800mあたりからスローペースとなり3時間20分かかってしまう。これが今の限界でここから先はさらにスローペースとなるのだろうなと思う。今回は凍結で頂上まで行けないので早月小屋で引き返そうかなと思ったのですがちょっと気になることがあったのでもう少し登ることにする。
というのは途中でちょっと言葉を交わした青年が小屋から上へ登って行くのを見かけたからでした。この青年は今日が初めての山登りなんですといっていたので大丈夫かなと思い、小屋の前で食事をしたり写真を撮ったりしながらそれとなく待っていたのですが1時間以上たっても降りてこないので様子を見に行こうという気になりました。
ほとんどの人は小屋の人にここで引き返すように言われて降りて行ったが、時々一つ上の2500mのピークまで行く人もおり、下からそのピークに人影が見えたので私も登ってみることにする。途中で降りてきて出会った人が1人と2500mピークで1人に出会う。その人に青年の話をして見かけなかった聞いてみるとあああのスニーカーを履いた人には出会ってない。という返事だった。そうかスニーカーだったかと思った。気になるので様子を見に来たのだという話をするとその人ももう少し登って様子を見に行ってくれるらしい。しかし少し登ったあたりからカリカリの雪がついた外傾斜の岩場となりその人は無理だから引き返すという。私はアイゼンを持っていたので装着して登って行く。
足跡はとぎれたところもあるがうっすらと付いている。左側の池ノ谷も滑落していないか注意しながら登って行く。どこまで行ったのだろうか、登山が初めての人がスニーカーでここを登れるのだろうかと思い、登ったと思ったが見間違いか人違いだったのではないだろうかと不安になってくる。足跡もうっすらと付いているところもあるが今日のものではないかもしれないし、頼まれたわけでもないのにどこまで行っても会えないかもしれないという思いも頭をよぎる。
しばらく行くと新しい雪の崩れた跡があった。今日誰かが登った跡のようだ。
あっ・・急傾斜の岩場を登った上に人影が見えた。あの青年だ。無事だった。やれやれと思い近づいて行く。向こうも覚えていたらしくにっこり笑って立っている。革ジャンにカッパのズボンにスニーカーそして1mくらいの2本の棒きれを持っている。場所は2600mの標識のある休憩するのにちょうどいい場所である。写真を撮ってほしいというので剣岳をバックに1枚と小窓尾根をバックにもう一枚。あらためて今日が初めての登山かそれともここが初めてという意味だったのか聞いてみると、やはり登山が初めてらしい。
以下次のような会話。

私  どうしてここへ来たの?
青年 インターネットで調べて山の姿が剣岳と常念岳がよかったのでどちらかにしようと思った。

私  早月尾根は距離が長いし、室堂からも登れるよ。
青年 室堂から登れるのは知っていたけれどケーブルカーとかで登るより自分の足で登る方がいいと思ったのとあんまり混雑したところは好きじゃないので。

私  スニーカーで雪の上をどうやって歩いたの?
青年 2本の棒を使って雪に突き刺したり岩についた雪をたたいたり突っついて落としたりして、あと木や岩をつかんで登りました。

私  早月小屋までどれくらいの時間で登ったの?
青年 2時間30分くらいかな。     (標高差1440m)

私  登るのは苦しくなかった?
青年 登るのは楽しかったです。登りの方が好きです。

私  どこまで登ったの?
青年 2700mあたりかな。鎖があって凍っていてこの靴では滑って登れませんでした。そこで引き返しました。

たぶん本日の最高到達地点だったのではないかな。
この青年を 初めての登山で無謀だと思われる方もいらっしゃるかと思いますが 貧弱な装備ながらも自分の力で自分の判断で安全を確認しながら初めての登山を成功させたことに私は感心しました。

馬場島まで山道具の話や自分の経験した危なかった話などいろいろ話しながら下山しました。親子ほどの年の差ペアでしたが今流行のヤマボーイ達と対極にあるような二人組でした。
しかしうちの会にもこのような人材が欲しいなと のどから手がでそうな私でした。
馬場島で再会を約束して別れました。

翌日は赤谷山へ登るつもりでしたが朝起きてみるとぎっくり腰になってしまい、山登りを断念してドライブ旅行に切り替えました。
早月川沿いを海まで下って富山湾にそそぎ込む所を確認しました。渓流の水のように澄み切った流れが海に注いでいました。そこからなるべく海沿いを富山から能登半島へ進み最先端の狼煙町で宿泊し、翌日 千枚田や総持寺を見て金沢まで一般道を通って富山と石川県の風土を観察しました。紀伊半島と違って女性的な地形という印象を持ちました。
今回は珍しくのんびりゆったりとした旅となってしまいましたが、たまにはこういうのもいいかなと思いました。
 
                           (フォレスト)