2022/09/13・提出
期間 | 2022/09/11 | ||
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目的の山域山名 | 南紀 黒蔵谷 | 天気 | 晴 |
登山方法1 | 日帰り | 登山方法2 | ------- |
目的1 | 個人 | 目的2 | 沢登り |
8:20林道駐車スペース出発ー8:30黒蔵谷出合ー8:55鮎返滝下ー9:20鮎返滝上ー11:25出谷出合ー13:30 6m斜瀑(アンダーガバの滝)ー14:00 脱渓ー17:00 E崩壊地(杣道下山断念)ー17:20沢床ー17:40鮎返滝(懸垂下降・泳ぎ)ー18:00 大塔川本流出合ー18:15林道駐車スペース
※杣道の崩壊箇所(この情報は不正確な場合があります。事故等起きた場合には責任を負いかねます。)
A,E:比較的大規模な崩壊。特にEはスラブ状でトラバース不可能。巻くか沢床に降りる必要あり
B,C,D:土石流状、スラブ状の崩壊。特にCは傾斜がきつく高巻きが必要。巻き道も悪い
その他、谷筋の橋は全て落橋し、崩壊がかなり進んでおり危険。
概念図
たの:
試される遡行、地獄の下山、充実の山行。黒蔵谷の再下流部の鮎返滝の釜から早速泳ぎです。釜を泳いで右岸に取り付き、リードさせてもらって早速登攀。上部はツルツルでホールドスタンス細かく結構悪いです。これをこなすとそこから下の廊下が始まります。泳ぎセクションだらけ。最長30mくらいの長瀞も足が届かず、ラッコ泳法、ヤツメウナギ泳法などを駆使して突破します。特に谷が曲がる場所は必ずと言っていいほど長瀞があり泳ぎ確定。出口に小滝もあり、難しいものもちらほら。いい加減寒くなってきたあたりで空が開け、下の廊下が終了します。すぐに出谷の出合、ここで大休止としました。太陽が温かい。出谷を過ぎるといきなりの泳ぎ。休憩中に冷えた体にはこたえますが、文句をいっても仕方がない(といいつつ、皆楽しそうにぶーぶー言いながら)、どんどん泳いでいきます。中の廊下にはいくつか困難な滝もあり、おたすけ紐にライフジャケットを括り付けて後続を引っ張ったりと工夫しながら進んでいきます。メンバーのYU氏はクライミングのマルチピッチやボルダも訓練しており、泳力も高く突破力がすごい!難しい滝や泳力のある淵をガンガン突破し、後続を引っ張ってくれるので本当に助かりました。
水流が見た目ではわからないところも意外と水の流れがあり、疲れもでてきて時間がおしてきました。このため中の廊下の途中で、目標到達点であったカンタロウ滝までは行けないとなり、それでもひとまず高山谷出合には行こうと遡行を続けます。しかし、その前に立ちはだかったのが6m斜瀑(通称、アンダーガバの滝)。YU氏が突破し、後続を引き上げてもらおうとしたのですが、出だしがハングで離陸できない。ここで2時、タイムアップ。仕方がないので藪漕ぎをして右岸の杣道まで上がります、そこから下山することに。(なお、帰ってきたらハーネスにマダニが一匹ついていました。この藪漕ぎでついたのかな。かまれないでよかった)
下山は正直、地獄でした。この杣道、もともとはトロッコの軌道?があって、人の背程度の高さのトンネルもあるのですが、沢という沢すべてで橋が流出しているうえ、その巻きがとにかく悪い。まず上の地図の崩壊地Aはガレガレの大崩壊地で、帰ってきて最新の航空写真を見ても載っていないことを考えると、おそらく今年できたばかりの新しい崩壊地なのでしょう。B,C,Dはルンゼが滑り落ちており、特にCは傾斜が急で落ちたら命がないな、と思わせるもの。巻き道に細いロープがついていましたが、この巻きも非常に悪く、なかなか恐ろしかったです。Dのルンゼは傾斜が緩いのですが、その先のE方面に向かう杣道に復帰するのに垂直の泥付を登る必要があります。YU氏が根をつかんで強引に突破、後続はスリングをたらしてもらってやはり強引に突破。この時点で17時。そのあと100mもいかないうちにEの大崩壊地。つるつるスラブの鏡面仕上げでトラバースなど無理無理。思わず「そりゃないだろ~!」と叫んでしまいました。仕方がないのでDまで戻って懸垂下降でルンゼ底に戻りました。Dルンゼは緩傾斜だったこともあり、ここを使って黒蔵谷の沢床まで降りていき、相談タイム。沢を下降すべきか、杣道に復帰すべきか話して、フォレストさん、バンブーさんに判断を任せていただきました。おそらくここからなら大きな滝は鮎返滝だけなので、そこを懸垂下降する予定で沢を下降することに。この読みが最後の最後、何とか当たって、日没ぎりぎりで大塔川出合に到着。いやー久々にやばかったです。
でも地獄といいつつも、厳しい山行をしていると、こういう日もありますね。冷静さを失わないように気をつけて、無事に帰ってこれたことは成果だと思います(ビバークかな、怒られそうだけど天気は快晴、ツエルトと焚火装備はフルであるから大丈夫だ、などと「冷静だけど前向き」を心がけました)。今日届かなかったアンダーガバの滝の先も、もっと力をつけて見てみたいものです。
鮎返滝下から |
鮎返滝右岸の登攀ルート、上部が悪い |
敗退した斜瀑(アンダーガバの滝) |
トンネル内の様子 |
謎のキノコ、とげとげの雪だるまのよう |