2010.4.28
小屋泊
3泊4日
個人
日本アルプスの山

北アルプス 蝶ヶ岳 + 岳沢

2010/05/02/・提出
提出者氏名:田中 雅樹

期間 2010/04/28~2010/05/01
目的の山域山名 北アルプス 蝶ヶ岳 + 岳沢 天気 4/28(水)晴 4/29(木)雨のち晴れ 4/30(金)曇りのち雪 5/1(土)快晴
登山方法1 小屋泊 登山方法2 3泊4日
目的1 個人 目的2 ピークハント
メンバー(氏名) 田中 雅樹
交通費、食糧、
その他費用など
1.交通費
 和歌山→新大阪→名古屋→高山 JR ¥13510×2(往復)
 高山→平湯温泉→上高地 バス ¥2630×2(往復)
2.山小屋宿泊費
 嘉門次小屋 ¥7350 (2食) ¥5250 (素泊まり)
 蝶が岳ヒュッテ ¥7500 (1食)

4/28(水) 晴れ 13:30上高地着 → 15:30 明神 嘉門次小屋
この日は、岳沢往復後、明神池の嘉門次小屋泊の予定。しかし、上高地の登山指導員からこの日の午前中に降雪がありラッセルになる可能性ありとのアドバイスを受けた。時間的に余裕がなかった事もあり、予定を変更し、嘉門次小屋に向かう。いわなの塩焼き、ふきのとうの天ぷら等うまかったです。
(観光旅行みたいになっててすみません。)
4/29(木) 朝から雨、ときどきみぞれ。午後は晴れ。夕方 曇り。
嘉門次小屋 → 蝶が岳ヒュッテ
朝からみぞれまじりの雨。午後から天候が回復するとの予報であったので8時30分まで嘉門次小屋で天気待ち。待っていても良くならないので、とりあえず徳澤まで行こうと考えて出発。
徳澤で、さらに1時間天気待ち。10時30分に雨があがったので出発。
徳澤の標高が1562m。しばらく登った1700m地点でアイゼンを装着。雪はまだ深くなく、トレースもついている。12時の時点で標高2000mの地点まで到達した。ガイドブックのコースタイムより若干短い時間で到達できたので、自分ではこの先もガイドブックのコースタイムの4時間40分くらいの時間、つまり15時くらいには蝶が岳ヒュッテに到達できそうだと考えていた。さらに13:00の時点で標高2300m地点。蝶が岳の標高が2677mなので、残り標高差は400m弱。距離の点では徳澤から山頂までの半分には達していないが、標高の点では3分の2程度まで来た。ここからは勾配は緩やかになるので、この時点では15時よりも前に着くと予想していた。
しかし、そう都合よくはいかなかった。トレースはあるものの、雪が柔らかくなり、一歩一歩が沈んで非常に歩きにくい。よく「腰までの雪の中をラッセルした」という文章をみかける事があるが、この時は「ひざ下までの雪の中をラッセルした」という状態。速度は落ちて、少し疲れを感じる。徳澤からここまで他の登山者を見かけていないので、このまま疲労で動けなくなったらどうしよう、と不安になる。実は昨夜、嘉門次小屋に置いてあった、山岳での遭難者救助を題材にした漫画「岳」を読んでいたので、俺ももしかしてこの漫画にでてくる遭難者の様になるのではないかと不安倍増。一人で登山している時、この心理的な不安からあせりが生じ、判断を誤る事が多々ありそうだと感じた。
しばらく進むと先行のパーティに追いついた。実は、先行のパーティが見えた時とても嬉しかった。おおげさに思われるかもしれないが、「助かった!!」と心の中で思っていた。
トレースは彼らがつけてくれていたもので、その前にはトレースがなかった。その4人組パーティと一緒にルートマークを探しながら進む。雪のなかに埋もれていて見えないルートマークが多いのか、あちこちを探さないとルートが分らない。これが一人だったらと思うとぞっとする。地図とコンパスだけではやはり不安。
標高2564mの長塀山に到達したのが15時頃。4人組と行動を共にしながら、ひざ下のラッセルを続け、ヒュッテを目指す。雪に埋もれて全く見えない「妖精の池」の辺りで「先に行ってください」という4人組の言葉を受けて先行する。ここからは尾根が明確で迷う心配はなくなったが、稜線近くで強風が吹く中を進む。ヒュッテまであと少しの所で森林限界に達し、強風をさえぎるものがなくなり、立っていられない程の風を受ける。不精してフックをかけていなかったザックカバーが風で飛んで行ってしまった。僕も次の瞬間に東側の谷に飛ばされていくのではないかと、「疲労」「道迷い」につづく3つめの不安にさいなまれる。山って怖い。16:45にヒュッテに逃げ込む。ホントに「助かったー!!」と思った。
自炊するつもりが、疲れていたのでヒュッテで夕食を食べさせてもらい、夜は4人組と一緒にお酒を飲んで就寝。この一日の事を思ってなかなか寝付けなかった。
4/30(金) 曇りのち晴れのち雪 蝶が岳ヒュッテ → 嘉門次小屋
起床後、景色を撮るために外に出る。穂高連峰は少し雲がかかっている程度でまだ見えるが、槍ヶ岳からは雲が離れず見えない。強風の中、しばらくねばったがダメ。朝食後、出発準備をしてからもしばらく待ってみたがダメだった。結局今回の山行で槍ヶ岳は全く見なかった。
元々の計画では、蝶が岳から常念岳へ進むコースを取る予定だったが、1日目にあきらめた岳沢に行きたかったので、上高地方面へ戻る事にする。蝶が岳ヒュッテで一緒になったO君と一緒に来たコースを下る。稜線の風は相変わらずだが、樹林帯に入ると全く風を感じなくなる。好天の中を最高の気分で下る。雪の下りって楽しい。昨日は怖いと思っていた山が、今日は楽しくて仕方がない。楽しいことはすぐに終わってしまうもので、3時間ちょっとで徳澤に着いた。そこから1時間歩いて再び嘉門次小屋に泊る。昼少し前には着いた。午後はのんびり過ごし、夜は囲炉裏の前でO君と一緒にお酒を飲む。外は雪。あー楽しかった。
5/1(土) 快晴 明神嘉門次小屋 → 岳沢 → 上高地
昨日の雪が屋根の上などにうっすらと積もっている。梓川の堤防に出ると風が強い。天気は快晴。時間と共に気温の上昇が予想され、昨日降った新雪が雪崩にならないかと心配になる。それでも岳沢に向けて登る。この日は雪もしまっていて登りやすい。約2時間で岳沢に到着。六百山、霞沢岳とその右奥に見える山なみが雄大で言葉にできないほど美しい(写真参照ください)。この霞沢岳の右に見える山なみは、岳沢から見るとちょうど大正池のある方向に見える。乗鞍岳と思うのですが、ハッキリわからないので教えてください。
最終日に、こんな光景を見ることができてとてもうれしかった。涸沢の合宿メンバーは穂高からもっとすごいの見るんだろうなあ。うらやまし。
この光景を見ながらとても幸せな気分で上高地まで下り、今回の山行は終了。メンバー各位、色々アドバイス等ありがとうございました。

概念図