2010.5.22
日帰り
前夜発日帰り
個人
関西の山

前鬼口 小峠尾根から孔雀岳と釈迦ヶ岳

2010/05/24・提出

期間 2010/05/22
目的の山域山名 前鬼口 小峠尾根から孔雀岳と釈迦ヶ岳 天気
登山方法1 日帰り 登山方法2 前夜発日帰り
目的1 個人 目的2 縦走

5/22 晴 前鬼口駐車地6:00
~8:30小峠尾根~9:20 1477ピーク
~11:00孔雀岳~12:00釈迦ヶ岳
~13:30大日岳~13:45太古の辻
~15:20前鬼口駐車地
     
1年ほど前から考えていたルート。
前鬼口から釈迦ヶ岳へ登るのに同じ道の往復では面白くないと、孔雀岳へ突き上げる小峠山から続く長い尾根を歩いて孔雀・釈迦・大日岳とぐるり一回りして戻ってくるルートである。
地図を広げては釈迦ヶ岳の眺望を楽しみながらのルートに心がときめいた。しかし、距離が長く小峠尾根までは未知のルートであり少しトレーニングを積んでからと思っていた。今年の4月に赤倉岳から大塔山へ11時間かけて歩き、先週は大倉畑山でルートファインデイングの練習をして今回の実行となった。

前夜11時に前鬼口へ到着し車中泊をして朝4時半に起きる。準備をすましてまず取り付き地点を探すためあたりを探索する。前鬼口は初めてなので車道を歩いて最初上流の方を観察し、次に下流へ下って向かいの尾根を観察する。すこし下流へ下ったところの待避所に車が1台とテントが張ってある。昨夜遅くに到着したのであろうか。靴が外に置いてあるのでまだ就寝中のようであった。ここへ私の車も置いて歩いて下流へ向かい取り付き地点と考えている前鬼川本流と黒谷の合流地点を見に行く。
土砂崩れ跡に踏み跡があり降りて行けそうである。前の尾根も傾斜はきついが岩場とかはなさそうである。車へ戻って準備をしていると、テントから人が出てきた。2人組で三重の滝の方へ写真を撮りに行くらしかった。今日の予定のルートについて聞いてみるがわからないとのことだった。お互いに安全にと別れて出発した。

川へ降りて最初は黒谷は丸太橋、次は前鬼川を渡渉して渡り尾根に取り付いた。
壊れた吊り橋があり道があるかもと期待をしながら登って行くと、枯れ葉に埋もれているがかすかに道がある。これをたどって行くとジグザグに続いている。傾斜はだんだんきつくなり手をついて登るような場所もあったが大木の茂る原生林は見通しもよく安心して登って行ける。急傾斜地を登って集材用の錆びたワイヤーが放置されているあたりまでくると傾斜はゆるくなってきてさらに歩きやすくなってくる。樹林の切れた場所から釈迦や大日の眺望が開けてくる。素晴らしい稜線である。さっそくカメラで写真を撮る。どんどん登って行くとまた大きく眺望が開けた場所があったここでもまた写真である。
さらに登って行くと岩場が所々に現れてくるが傾斜はあまりきつくはないし、大塔山のようなやせ尾根もない。おおらかな尾根である。所々下ったり登ったりしながら尾根を歩いて行く。大きな2本のツガの生えた場所を通り、1本が枯れていて目印になりそうな場所だなと思いながら歩いて行く。道は少し下って行き左から水音が聞こえてきた。こんな尾根に近い上流に水が流れているのかとちょっと不思議な感じがしたが前に見えている尾根へそのうちに登りあげるのだろうと進んで行く。

駐車地で見た熊出没注意の看板が気になっていたがこのような明るい場所だと気づきやすいし腰に鈴を付けているので向こうが気づいてくれるだろうと歩いていった。
と、突然ものの動く気配と声。
下を見ながら歩いていたので驚いて前を見ると・・・・・。
エー、いったいどういうことか。
なんと人が立っている。
すぐには理解できなかった。
2人組の登山者であった。こんな場所で人に会うとはシカに会うより驚いた。しかし人ということがわかれば懐かしく少し話をした。枝沢からこの尾根へ上がってきたらしい。このあたりは何度か歩いておられるような話だった。
どこへ行かれるのですかと聞かれて孔雀へと答えたのだが不思議そうな顔をしている。その人がいうのに道が反対だというのである。この方向は尾根を下っているという。そういえばさっきから傾斜はゆるいが下りばかりだ。知らぬ間に小峠尾根に突き上げ下向きに歩いて来ているのであった。地図を出して確認するとその人達の登ってきた沢の位置からして少し尾根を下ってきたようである。しかし上へ行く道と下へ行く道を間違えるはずは無いがと不思議な気分だった。

お礼を言ってもと来た方へ引き返す。ツガの2本の木のそばを通り注意しながら歩くがわからないままもと来た道を下りだしてしまった。おかしいと思って地図を広げあたりを観察するが上向きの尾根が見つからない。
これはいつもの木登りだと思い立ち、登りやすそうな木を見つけて登ってみる。頂上の方まで登って辺りを見回すとあった。ここから少し登ったあたりから左側に少し下ってゆるやかに登って行く尾根がある。主尾根というより枝尾根である。小峠山から来た尾根がいったんここで終わって新たな尾根がここから始まっているような形である。

そこから先はゆるやかな傾斜の明るい森で注意しながら歩いたがルートを間違いそうなところはなくふかふかの苔が絨毯を敷いたような歩きやすい道だった。五百羅漢の岩峰がどこなのかよく知らないがあちらこちらに点在する岩が樹木の緑に変化を与え素晴らしい景色であった。
孔雀へ登りあげる最後が少し傾斜がきつくなったが全般にはおだやかな尾根であった。

あとは孔雀岳、釈迦ヶ岳、大日岳と巡って太古の辻から前鬼に下った。釈迦ヶ岳から太古の辻までは登山者に会ったが太古の辻から下は誰にも会わなかった。最近はほとんどの登山者が旭口から登ってきているようであった。
鬱蒼とした大木の森を下ったが、釈迦ヶ岳はこの東面の険しい姿が本当の姿で、ちょっと時間がかかるがこの山を本当に味わうためには前鬼口から登らないとだめなのかなと思った。前鬼の宿坊前を通ったが、窓を開けて布団を干していた。土曜日ということもあり車も3台止まっていて人は見かけなかったが宿泊客が泊まるようだった。

ゆるやかな道を歩いて駐車地まで下ったが、歩きながら小峠尾根で出会った2人組の登山者について考えていた。
偶然といえば偶然なのだろうが何かが味方をしてくれたような気もした。
あそこで出会わなかったらおそらくあと1時間ほど時間をロスしていたであろうし、長い道中を考えたらもしかしたら登頂をあきらめていたかもしれない。間違いにはそのうち気づくだろうがあそこの位置を地図上で特定できたのがありがたかった。

山へ登るとき私は時々清酒の1合瓶を持って行く。自分が飲むためではなくて山にお供えするためである。
今回も持参していた。
釈迦ヶ岳の頂上で大地にお供えしてきた。
私のやり方は清酒を少し注いで瓶と残りは持ち帰るのである。
釈迦ヶ岳の頂上にはお釈迦様の銅像があるが私がお参りするのはその下の地面であり、周りの自然全体である。

前回は大倉畑山で「 やられたー 」でしたが、今回は「 やったー 」でした。

少しの自分の努力と 大きな何かの力のおかげで 今回の山行ができたことに感謝したいと思います。

                                 ( フォレスト 記 )

概念図