2010/09/26・提出
期間 | 2010/09/17~2010/09/20 | ||
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目的の山域山名 | 北鎌尾根 | 天気 | 晴 晴/曇 雨/曇 |
登山方法1 | 小屋泊 | 登山方法2 | 前夜発2泊3日 |
目的1 | 合宿 | 目的2 | 縦走、登攀 |
(コースタイム)
9/17 和歌山21:00~3:00南安タクシー(泊)
9/18 晴 中房温泉7:30~10:20合戦小屋~11:15燕山荘~12:00燕岳~16:00大天井岳~16:40大天井ヒュッテ(小屋泊)
9/19 晴/ 曇 大天井ヒュッテ5:00~7:30天上沢出合~7:45北鎌沢右俣出合~10:20北鎌沢のコル~13:30独標~16:30北鎌平(ビバーク)
9/20 雨/曇 北鎌平5:20~7:10槍ヶ岳~8:00槍ヶ岳山荘~13:00横尾~16:30上高地
9月18日~20日 夏合宿で北鎌尾根に行って来ました。
メンバーはKiki氏、英氏、バンブー氏、澤氏、フォレストの5名で行って来ました。全員、北鎌尾根は初めてで、わくわくどきどきの3日間でした。
18日は中房温泉から合戦尾根をややゆっくりのペースで登って合戦小屋に到着。名物のスイカをいただき、燕山荘までさらに高度を上げる。燕山荘へ到着して、ここへ荷物をおいて燕岳まで往復する。白い砂と点在する岩が特徴的な場所である。戻ってきて食事をし、大天井岳方向へ出発する。北鎌尾根から槍ヶ岳方向が見渡せる。稜線を裏銀座方向や常念方向の景色を楽しみながらを歩く。大天井岳が近づいてきたあたりでkiki氏とバンブー氏に貧乏沢の下降点の偵察に行ってもらうことにする。残りのメンバーは大天井岳を経由して大天井ヒュッテを目指すことにする。
4:30大天井ヒュッテに到着し、偵察から戻っていたkiki氏とバンブー氏の出迎えを受ける。夕食はトンカツをいただき明日へ備える。夜、満員の部屋で暑くて眠れないと言う翌日の北鎌の夜とは正反対の理由であまり眠れませんでした。
19日朝4:00に起きると満天の星空で予定通り北鎌へ出発できそうである。朝食を済ませ5:00ヘッドランプをつけて出発です。昨日の偵察のおかげで貧乏沢下降点へ難無く到着し、ハイマツの枝をかき分け下りにかかります。はじめは藪こぎで次はガレガレの下りでその次は沢下りです。所々左岸に踏み跡の道がありこれを利用します。ルートはわかりやすく間違えそうなところはなかったが、藪とガレガレとで歩きにくい道でした。また流木の埋もれている木で滑って転ばないように注意が必要でした。というか、実は私も滑って転んだのですが打ち身程度で行動には支障が無くて良かったのですが、そこから100m程下で同じように滑って転倒して骨折をしたらしく救助要請をしている方がいました。あいにく無線も衛星電話も持って無くて役に立てなかったのですが、仲間の方が山小屋へ行かれたようで、北鎌を登っているときヘリコプターが来てました。天上沢の合流点で休憩をし、上流へ20分ほどで北鎌沢です。少し登って右俣との合流点で水をくみ北鎌のコルを目指します。分岐があれば右方向へ進み最後だけ左と事前に調べていたのですが、水がかなり上の方まで流れており分岐も無くてほとんど1本道であったように思います。最後は左ではなく真ん中の岩場を登って行くような感じでした。北鎌のコルはそこからすぐでした。
ここで休憩をしていよいよ北鎌尾根です。
バンブー氏トップで進んで行きます。樹林帯で木に掴まりながら歩けるので急傾斜地でも安心です。道もわかりやすく問題ありません。しかし独標まではかなりの登りです、傾斜もきつくなり先行者が時々がらがらと落石を落としている音が聞こえてきます。やや間隔を置いて登って行きます。独標手前まで来ました。ここで少し休憩をし、ハーネスを装着していよいよ核心部に突入です。kiki氏トップでトラバース道へ入って行きます。写真でみて想像していたのより怖くありません特に問題もなくトラバース道の終点近くで、そのまま進めば独標を越えてしまいそうなので独標の方へ戻るように直登して行きます。先行者の方たちはほとんどトラバース道を通って独標をとばしてP11の方へ行ったようでした。我々は独標を目指します。ザイルなしで尾根まで登り少し戻るように独標ピークへたどり着きました。ここは絶景です。バランスの良い槍の姿を正面に望み、北鎌尾根の岩稜と、右には黒部の源流部の山々、左には表銀座から常念や穂高へと大パノラマです。来て良かった、このような槍を頂点としたシンメトリカルでありながらダイナミックな景観はここにしかないと思ったのでありました。しばし撮影タイムです。
少し休憩をしたら、さあ槍を目指して出発です。
独標のトラバースから先は樹木のない岩稜帯です。P11からP15までほとんど尾根を忠実にたどって進みました。トラバースの道はあちこちにありましたが、ざれざれであったりがれがれであったりして神経を使う場所でした。あれなら尾根の岩場の方がずっと歩きやすいと感じました。行動時間も10時間を超え疲労もたまってきて、最後の大槍の登攀が懸念されたので、天気も良さそうだし北鎌平が貸し切り状態なので、ここでビバークをしようということになりました。
小屋泊まりの予定だったので食料は少なかったのですが、皆の持っているものを持ち寄って分け合いながら質素でも楽しいレストラン北鎌平でした。
北鎌の夜を独り占めできるなんてなんとぜいたくなと思っていました。明るい月で素晴らしい夜でした。しかし、ツエルトでシュラフなしではやはり寒くて眠れませんでした。1時間おきくらいに時計を見ては、時間の進むのが遅く感じられる長い長い夜でした。さらに悪いことに、夜中の3時頃からぽつぽつと雨が降ってきました。最初は小粒だったのがだんだん大粒になってきます。悪天候につかまってここで停滞をしなければならないのか、食料もないのにいったいどうなるのだろうかと悪い予想ばかりが浮かんできます。
4時頃に荷物をまとめて、明るくなって行動可能になったら雨の状態をみてチャンスがあれば出発することにします。荷物をまとめるとき、雨に濡れながら立っているとかなり寒いです。でもツエルトをかぶって座っていると自分の吐く息でかなり暖かく我慢できそうです。
5時頃薄明るくなって雨もやや小降りになってきたのでヘッドランプをつけて出発です。
霧と雨で視界がきかずそそり立つ岩壁に恐怖感を感じながら登って行きますが、近づいてみると手がかりはあり何とか登れます。2ヶ所ほどチムニーを越え木杭の所までやってきました。
頂上が近いのがわかりここで英さんとトップ交代です。岩角を曲がると頂上でした。頂上には2人の登山者が居ました。
「あれ、あんたらどっからきたの?」と不思議そうな様子。
「うん、こっちから 」と答える英さんでした。
つづいて全員が頂上にそろいがっちりと握手を交わし、ちょっと感動のひとときを自分たちだけで祝いました。
ここもまた独り占めです。
流れる雲の切れ間から時々表銀座方向の稜線が現れたりして、幻想的な景色です。
雨もあがり、長かったアプローチと北鎌尾根を振り返り感無量でした。
あとは槍ヶ岳山荘で休憩し横尾までの長い道を下り上高地へ下山しました。
次々と現れる岩と試練に勝ち抜いたメンバーの皆様ほんとうにご苦労様でした。
どのような状況になろうともすべて自分たちで解決しないといけないバリエーションの世界を経験でき非常に勉強になりました。
北鎌平のビバークや雨の中の登攀は、すべて好天気に恵まれて何事もなくハッピーな山行よりも、自然や運命の奥深さのようなものを感じさせてくれました。
そしてその試練を乗り越えた皆様はそれぞれの持っている潜在能力や意思の強さを誇りに思っていいと思います。
共に貴重な体験をでき感謝しております。
それから、いつもノー天気な馬鹿話をかっ飛ばしてなごませてくれた英さん、ありがとうございました。
( どのような時でも精神的なゆとりは必要ですね。 たいしたものです。)
( フォレスト 記 )
(kiki)
北鎌尾根は、登山の総合力を試されるルートだと実感しました。
長いルートを踏破できる体力と持久力、チャンスを逃さないスピード、次々と現われるピークを着実に越えるクライミング技術、そして経験や判断力など、野球で言えば打率3割、本塁打30本、盗塁30個と言うところでしょうか。
私は、メンバー全員の総合力によって、この日本の代表的なクラシックルートを完登できたことを誇りに思います。
独標からの景観は、北アルプスど真ん中の印象で素晴らしいものでした。
それからビバーグは、貴重な経験になったと思います。今回は、寒さを体感しましたが、ツェルトの使い方にひと工夫あればで防げたかもしれません。今後、色々な場面を想定し研究をしたいと思います。早く北鎌尾根を抜けてしまうのは、いかにももったいない。北鎌平でのビバーグは、最高の贅沢でした。
しかし、なめんなよ!とばかりに、雨の攻撃を受けてしまいました。やはり、スピード登攀が基本ですね。
(英)
年一回の楽しい私のアルプスへの山行、北鎌平のビバークの寒さに震えながら 朝の雨の最高のシュチュエーション、ツェルトの中で装備を装着し雨の寒さに耐えながら・・ツェルトを脱ぎいざ槍の山頂へ、最高の緊張感、やめられません。
( バンブー )
やっと筋肉痛も治まり皆様のメール見て 凄い所に行って来たのかなとつくずく思います。
ビバークして夜中に雨が降り出してきた時 どうなるのかなと思いましたがkiki様の判断で難なく槍のピークに立つことが出来ました。今までの しんどかったことを一瞬にして忘れ 感激でいっぱいでした。小雨のためかピークに人が1人か2人しか居てなかったので拍手はおこらなっかたですが静かな頂上でみんなで握手できて最高でした。メンバーに感謝するとともにバックアップしていただいたかがりびの皆様に感謝します本当にありがとうございました。
会に入って一年ちょとですがいろんな山行が楽しくてしかたありません、もっと技術・体力をつけてがんばりますので宜しくお願いします。
(澤)
中房温泉~大天井岳~大天井ヒュッテ~北鎌尾根~槍ヶ岳は想像していた以上に体力を消耗するコースでした。また、北鎌平で雨のビバークという貴重な経験もできました。初めてのバリエーションのロングルートを経験したことを活かして、今後の山行の範囲を広げていきたいと思います。ただし、体力増強とスピードアップが課題であるが。今回の山行は、メンバーの一体感、集中力を感じることができた素晴らしい山行でした。メンバーの皆さん、有難うございました。
概念図