●コース概要
このコースは元々スキーでフランスのシャモニーからスイスのツェルマットまで縦走するコースであるが、それを夏にトレッキングするのが今回の夏のオートルートトレッキングである。
稜線をトレッキングする日本の縦走と異なり、谷~尾根(峠)~谷と昇り降りするコースであり、10個の2900m前後の峠に立てば、アルプスの4000メートル級の山々を見ることができる。
また、アルプスの緯度はカムチャッカ半島と同程度であるため、夏でも雪が降り雪渓が至る所に残り、比較的低い標高でも氷河がある。トレッキングコースは標高が高くなると氷河や多数の雪渓と岩場の中を歩く。
6月に入れば様々な花が一斉に咲き乱れ、花を楽しめるコースでもある。
<見ることができた山>
モンブラン、グランドジョラス、マッターホルン、モンテローザ、メンヒ、ユングフラウ、ヴァイスホルン、ブライトホルン、モンブラン・デ・シェイロ、エギーユデュミディなど多数
<見ることができた花>
アルプス三大名花(アルピンローゼ、エンツィアン、エーデルワイス)他多数(大変綺麗でした)
<見ることができた野生動物>
シュタインボック(山羊)、マーモット
<累積標高差>
登り6,161m、下り6,573mでした(ガイドの計算による)。
●記録 ・感想・雑感
7/9(月) 10:45関西空港発~ヘルシンキ~ジュネーブ(飛行機)~シャモニー(バス)21:00(現地時間)
7/10(火)晴れ シャモニー8:30~ル・トゥール→9:50バルムの峠→トリアン~ベルヴィエ→15:40モンフォー小屋(泊) 歩行時間約4時間30分
バスでル・トゥールへ移動し、テレキャビンでパルムの峠下まで移動。テレキャビンからは山腹を覆うアルペンローゼの赤い花が絨毯のように見えた。テレキャビンを降りてトレッキングを開始。牧草地の中のなだらかな道を歩き、バルムの峠(2204m)を越えてスイスに入る。峠を下ってトリアンの町へ。タクシーでベルヴィエまで移動し、ロープウェイにて中間駅まで上がり、歩いてモンフォー小屋(2457m)へ。モンフォー小屋からは遠くにモンブラン、グランドジョラス、エギーユデュミディが見える。
7/11(水)晴れ 7:15出発→9:45ショーのコル→12:00ルーヴィ峠→15:20プラフルーリのコル→16:42プラフルーリの小屋(泊) 歩行時間9時間30分
快晴でモンブランの朝焼けがきれいだ。最もハードな日程で、三つの峠を越えた。最初に雪渓を延々と登る。ガイドの手塚さんがピッケルでステップを切ってくれるので大いに助かるが、大変な労力だ。高度感のある雪渓を登った後岩場を通過しショーのコル(2940m)へ。雪を付けた岩山の景色を楽しんだ後、峠を谷まで下りルーヴィ峠(2921m)まで登り返す。ルーヴィ峠からはルーヴィ湖へ下りグランデゼール氷河の畔を歩きプラフルーリのコル(2965m)を目指して登る。プラフルーリのコルからは氷河が眼下に広がり、その向こうに今日泊まるプラフルーリの小屋(2624m)が見えた。
7/12(木) 晴れ 7:35出発→8:07ルーのコル→8:50ディス湖畔→13:55鞍部→14:15ディス小屋(泊)歩行時間6時間40分
緩やかなジグザグの登りを終えたらルーのコル(2804m)。ここから眼下にディス湖を見ながら下る。途中で避難小屋を過ぎ、湖畔に沿って長いトラバース。様々なお花が咲き乱れ牛がのんびりと草を食んでいた。湖の端まで歩いて再び登りに入る。モレーンの鞍部まで来るとモンブラン・デュ・シェイロン(3870m)、ピン・ダ・ロール(3796m)とシェイロン氷河が目の前に広がる。氷河の中の小島にはディス小屋(2928m)が浮かぶ。最もアルプスらしい景観である。ディス小屋はモンブラン・デュ・シェイロンへの登山基地となっており、ザイル、ヘルメット、ギアを持ったクライマーで賑わっていた。ワインを飲みながら素晴らしい景色を見るという至福の時間を過ごした。
7/13(金) 晴れ 7:35出発→9:30シェブレ峠→12:15アローラ(ホテル ド グレーシャー泊) 歩行時間4時間40分
先に出発したモンブラン・デュ・シェイロンへのクライミングパーティが氷河を登るのを見ながら出発。我々も氷河を横断するのでイケメンの現地山岳ガイドが同行。氷河は、カリカリに凍っているが砂交じりのため滑ることもなくアイゼンも不要。氷河の対岸に到着すると次は垂直に近い17mの梯子。現地ガイドがザイルを出してアンザイレンで登ればシェブレ峠(2855m)。ここで現地ガイドの仕事は終了し、峠を風のように走って下った。ここからは緩やかな草原を下る。途中はお花畑となっており、初めてエーデルワイスを見る。さらに下れば避暑地のアローラ(2006m)。ホテルに入り、汗を流し、洗濯をした後スーパーマーケットで明日の昼食を購入。
7/14(土) 雨のち晴れ 7:40出発~トレッキング開始→11:11トーランの峠→13:10モアリー湖→15:13ソルボアのコル→15:56ロープウェイ乗り場→16:20チナール(ホテル ラ ポワント デ チナール泊) 歩行時間6時間20分
ホテルをバスで出発し、中腹から雨の中をトレッキング開始。トーランの峠(2919m)の到着前には雨が止み、峠からはヴァイスホルン(4502m)、チナールロートホルン(4221m)が見えた。峠をモイリー湖(ダム)まで下ってソルボアのコルまで登り返し、峠を40分ほど下り山頂駅からロープウェイでチナール(1675m)のホテルへ。街に出てスーパーマーケットやパン屋さんで明日の昼食等を買い込む。ケーキが美味しかった
7/15(日) 晴れ 8:45出発→14:45ホテルヴァイスホルン 歩行時間6時間
標識に従い樹林帯をジグザグに登り、森林限界を過ぎる頃(2025m)にはトレイルはフラットに。眼下にはモイリー湖や街並みがきれいに見える。山岳ホテルヴァイスホルン(2337m)は1880年代に建てられた人気のホテル。雰囲気がありくつろぐことができた。
7/16(月) 晴れ 8:40出発→11:25メイドパス→14:43グリューベン(ホテル シュヴァイツホルン) 歩行時間6時間
草原の中をゆっくりと高度を上げていく。昨夜降った雪がうっすらとお花畑を覆っている(モンブランでは天候が荒れ9人が雪崩で、2人が行き倒れで亡くなったそうだ)。メイドパス(2790m)に到着するとヴァイスホルン、チナールロートホルンが近くに見え、少し下るとマッターホルン(4478m)も遠くに見える。峠を下りグリューベン(1822m)に下る。ホテルの庭でビールやワインを飲み、山の話で盛り上がる。ノルウェー人グループとも交歓し、楽しい時間を過ごした。
*グリューベンからはドイツ語圏、それまではフランス語圏
7/17(火) 晴れ 7:35出発→11:10アウグスボードパス→15:00ケーブル乗り場~16:15ザンクトニクラウス駅~ツェルマット(ホテル ゴルナーグラート ドルフ) 歩行時間7時間25分
ホテルの裏から樹林帯のジグザグ道を登り、森林限界を過ぎてからは草原を進む。途中に羊や赤牛がのんびりと草を食べている。さらに標高を上げアウグスボードパス(2894m)に到着。谷から吹き上げる風が非常に強い。岩稜帯をトラバース気味に延々と下り、尾根を回るとマッター谷が一望でき、ヴァイスホルン、ブライトホルン(4164m)、モンテローザ(4634m)、クライネマッターホルン(3884m)などが見えた。しばし絶景を堪能する。その後はケーブル駅まで下り、ケーブルでザンクトニクラウス駅へ、登山鉄道でツェルマットへ。無事全行程を終了。
7/18(水) 晴れ
終日自由行動ということで、ケーブルカーでクライネマッターホルン山頂まで登る。山頂からは360度の展望で目の前にマッターホルンやブライトホルンが、遠くにはユングフラウ、メンヒも見ることができた。
7/19(木)~7/20(金) 晴れ 4:30出発~チューリッヒ空港~ヘルシンキ空港~8:50関西空港
●メンバーコメント
<澤>
オートルートトレッキングは、岩山、雪、氷、氷河、花、草原など素晴らしい山行でした。また参加者もチームワークが良く楽しく山行出来ました。コースは技術的には難しいところはありませんが、8日間という長丁場であるため、体調管理が重要だと思いました。
モンブラン登頂経験者やガイドからは、モンブランにも登れるよとおだてられ少しその気になりました。
<泉>
トレッキング1日目は時差ボケで重たい体にかかわらず歩けたのは多くの花のお蔭でした。アローラの谷近くで野生のエーデルワイス見つけ「こんなに小さいのか」と驚く。アルプス三大名花のエンツィアンの何とも言えない青の色に出会うたびに感動させられた。楽しく個性のある6人の仲間と頼もしいリーダーと花と雲一つない快晴の日々、最高でした。また機会があれば海外の山に行きたい。