山行記録

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2010年04月16日(金)・提出

期間 2010年04月10日(土)~2010年04月11日(日)
目的の山域山名 赤倉岳から大塔山へ
登山方法1 テント泊 登山方法2 前夜発日帰り
目的1 個人 目的2 縦走
記録
天候:曇り

(メンバー)  フォレスト  英  デナ
 
(コースタイム)
        4/10 晴 印南サービスエリア14:00~大塔林道弘法杉下16:00~
             ホイホイ坂林道赤倉岳取り付き18:00 テント泊
        4/11 曇 出発5:45~7:50赤倉ノ頭8:00~8:50赤倉のコル~
             13:35大塔山14:15~16:25弘法杉~17:00林道駐車地

大塔山へ登りあげる尾根をいくつか歩きましたがその中でも最も手強いと前々から目を付けていたコースがあります。黒蔵谷をはじめ険しいいくつかの支流を集めた大塔川と、これまた険しい和田川の支流である奥山谷に挟まれた人の気配のもっとも少ない地域。そこにそびえるあまり人の目に晒されていない赤倉岳。今回この赤倉岳と大塔山を線でつないでみようと思いました。
地図で見てもネットで記録を調べてもかなり長時間の行程となりそうなので、日が長くなってきたこの時期に決行することにしました。前夜泊、懸垂下降、長時間歩行というきびしい条件でも楽しそうと参加希望してくれた英さんデナさんの頼もしい若手2人とともに挑戦することになりました。

大塔川沿いの林道の上流部が未舗装であるため早めの出発とし、印南サービスエリアで14時集合としました。車2台で川湯温泉を経由して大塔川沿いを遡り弘法杉下の林道へ1台の車をデポし、来た道を引き返してホイホイ坂林道入り口より赤倉岳を目指して登って行きました。
この道は赤倉岳取り付き地点まで舗装されており、最近完成したような真新しい舗装でした。
落石がかなりあるのでパンクに注意してゆっくり走ったほうが良さそうでした。

赤倉岳の取り付き地点のホイホイ坂林道の峠手前と越えたところにもにテントの張れそうなスペースがあり、そのあたりを宿泊地と決め日が暮れるまでまだ少し時間がありそうなので赤倉岳の南面を偵察に行くことにしました。峠を越えて奥山谷の方へ降りたあたりに見晴らせる場所があるのではないかと車で降りて行きました。峠から先は未舗装で雨で荒れた道を最近タイヤショベルでならしたような跡が残っていましたが、急傾斜で柔らかそうな道をゆっくり降りて行きました。かなり走りましたが樹林帯に阻まれて岩場は見えません。薄暗くなってきてテントの設営もあるので引き返そうかと思いましたが、あと一つ尾根を越えて見えなかったら引き返そうと前へ進みました。

きついカーブを曲がって急傾斜の道を降り始めると前方の右上に何か見えてきました。なおも進むと突然ドーンと岩場が現れました。え~!なんだこれはと言う感じでした。何の前触れもなく100m程の岩壁群が現れました。樹林帯に覆われて丸みを帯びた山容の懐にとんでもない岩場が隠されていたのです。しかもこの方向は人の住んでいない奥山谷方向からしか見えません。

赤倉の頭から大塔方向に続く尾根を観察してみると100m程の岩壁の縁が上部と下部の2段になって大塔方向へ落ちています。あそこを通れるのだろうかと。ただ岩壁を眺めるだけだったら何の苦労もないのですがあそこの縁を通るとなったら話は別です。ちょっと無口になってしまいました。

日も暮れたので宿泊地まで引き返すことにします。峠の北側の方が明るいのでそちらの方へテントを張りました。ヘッドランプをつけて食事をし、山の話や明日の話などで楽しいひとときを過ごしアルコールの睡眠薬が効いてきたので就寝としました。

翌日4時半に携帯のアラームで目を覚ましテントを撤収して朝食をとり、出発準備をしました。
5:45に出発です。心配した天気も曇ですが雨は大丈夫そうです。赤倉岳を目指してややきつい傾斜の尾根を登って行きます。谷底には霧が漂い那智山方向の熊野の山々が一望できます。清々しい朝の空気を吸い込みながら快適に登って行きます。

一つ二つとピークを越えて行き右に直角に曲がったあと、傾斜を増した尾根を登りきると樹林越しに赤倉の頭の岩壁が見えてきました。そこから少し登ると赤倉の頭でした。100m程の岩壁が遮る物のない絶景を作り出していました。左に大雲取りの山々が高くそびえ、その右は数え切れない程の熊野の山々が続き、その先は潮岬で海へ落ち込んでいました。

しばし景色を楽しんだあと本日のメインイベントである懸垂下降です。ハーネスを装着し大塔方向へ進んで行きます。取り付き地点を探して岩壁沿いに歩いて行きますが下降点が見つからず、だんだん赤倉の本峰の方へ逃げて行くばかりです。下から見た岩壁の縁のやせ尾根へ続くルートが見つかりません。

しばらく思案しましたが70度ほどの傾斜の樹林帯を降りてやせ尾根へたどり着けないか試してみることにしました。2人に少し待っててもらってザイルなしで樹林帯を下ってみます。10mほど下降して藪こぎクライミングで行けそうなので2人にも降りてきてもらいました。

掴まる木が豊富にあるので落石に注意して岩壁の方へトラバース気味に降りて行きます。岩壁の縁に到達して目のくらむ岩場を左に見ながら緊張の下降を続けると中間地点の傾斜のゆるんだ場所にたどり着きました。ここは足場もよく座って景色も眺められるので小休止する事にします。

昨日下から見たときあんな所へ行けるのだろうかと思った場所でした。下をのぞき込んでみるとハングになった100mほどの断崖絶壁です。よくぞここへたどり着けたものだとちょっと感激しました。下降した場所の傾斜は60~80度くらいでしょうか、しかし掴まる木があれば垂直の壁でも大丈夫だと思いました。ここで写真を撮りましたが、下降直後の写真は3人ともその表情が素晴らしかったです。本来なら顔の写っている写真は使いたくないのですが、今回だけはその表情がすべてを物語っているような気がしましたのでトップページに使わせてもらいました。

ここまで無事下降できましたがまだ半分なので気を引き締めて出発することにしました。
やや広くなった尾根を少し下ると傾斜はきついが道のようになっているのに気がつき始めました。そのうちに木を切ったあとがありここは明らかに道として使用されているようでした。林業の作業道でしょうか。途中で枝尾根へ降りたのでトラバース気味に岩壁の縁へ戻るように降りて行くとそこはやはり道のようになっていて結局懸垂下降することなく赤倉のコルへ着いてしまいました。

ここは昨日偵察に来て引き返した場所の上でここを下降すれば林道へ最短だろうと思われました。
こうして今回一番心配していた場所を無事通過し、るんるん気分で大塔へ向かいました。

しかしここからはいくつかのピークを、越えても越えてもまたピークが現れてくる遠い道でした。帰宅後デナさんの作った詳細図をもとに調査してみますと林道から大塔山まで登りが100~200mのピークが5、50~100mのピークが5、50m以下のピークが12で、累計の登高距離が1,270mでした。

腹が減ったと言う若手に我慢してもらって大塔まで何とか歩き通し13:35大塔山に着きました。念願だった尾根を踏破し非常に満足でした。遅い昼食を食べ、郵便箱の中のメモへメッセージを書いて山頂をあとにました。

下山途中で赤倉岳方向の眺望がいい場所があり、樹林に覆われて優美な姿だけれど、南壁の存在を知った今は、赤倉岳は羊の皮をかぶったオオカミなんだなと懐かしく振り返りました。
長かった尾根歩きも、つらい行程を慰めてくれたヒカゲツツジやミツバツツジやタムシバの花とともに深く記憶に刻みつけられました。

そこからは何度か通った弘法杉へ降りる道を経由して林道の駐車地へたどり着きました。
朝6時前に出発して車に着いたのは夕方の5時の長い一日でした。

                            ( フォレスト 記 )

 

過去の登山記録が無く、データーが少ないそんな計画でとても楽しそうだったので参加させていただきました。
面白かったのは、赤倉の頭からのきつい傾斜の下りだけでした。
未知のルートだったからこそのワクワク感、懸垂と聞いていたのでどれほどの環境なのか分からず装備を装着しての期待感
岩の際までの短い区間が注意を要しましたがあとはテープがあったりしてすんなり。
総行動時間が何時間くらいかかるのか楽しみでしたが、思っていた以上に近く感じたのは、下山後1週間経った今の感想だからかもしれません。
色々なコースを楽しんで歩く・・・どんな状況になっても対応できる自分を目指して行きたいと思います。

                         ( デナ 記 )

 

少しちびりました(TT)v 。

                   ( 英 記)

概念図
交通費、食糧、その他費用など

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