5/15 晴 静閑瀞入口駐車地9:00~9:20静閑瀞~10:20洞窟
~12:00最初のピーク~13:40大倉畑山~16:45静閑瀞
~16:30駐車地
赤倉岳へ登ったときに前に見えていた大倉畑山。
赤倉の倉が(=)であることがわかったので大倉もまた(=)であろうと思い登ってみることにしました。静閑瀞という名所もあることだし道もいいだろうと軽い気持ちで行ってみて、急傾斜とジャングルのような森に行く手を阻まれた、「 やったー ! 」ではなくて「 やられたー ! 」という結果になってしまいました。
反省も含めて少し細かく書いてみますので教訓にしていただければと思います。
熊野川町鎌塚の静閑瀞入り口の看板のある道路沿いに駐車。
平の集落跡の前を通って小口川の静閑瀞へ着く。橋が残っているかと期待しながら来たが、錆びたワイヤーが1本残っているだけで跡形もない。仕方なく少し上流へ岩場をへつり渡渉出来そうなところを見つけ、靴を脱いで渡渉する。大雲取りから流れ落ちる水はまだ冷たく足がしびれてくる。
ふたたび靴を履いて地図では左岸に歩道の表記があるのでそれを探しながら上流へ登る。はじめは階段状に石を置いたところを登って行くが川沿いの道は判然とせず川から10mほど上のあたりを木に掴まりながら歩いて行く。しかし川の両岸とも切り立った岩場になっているところが多く崩壊地で岩がむき出しになっているところは掴まるところもなく川へ滑り落ちそうなので少し上の樹木のあるところを選んで歩いて行く。
今回はザイルやハーネス等を持ってきたので荷物が多くザックがジャングルのような木に引っかかって歩きにくい。しばらく行くとかなり高い切り立った岩場になり少し越えてみたが高さが20mほどありこのまま進むのは危険と判断しさらに高度を上げ樹林帯へ逃れようとする。50m以上あがってみたがあいかわらず傾斜はきつくそれでも転落するような危険地帯ではないため木に掴まりながら進む。
炭焼き釜跡を見つけ作業道でも残っていないかあたりを調べるが判然とせずそのまま進む。ここで何かの動物が逃げて行った。逃げるときがらがらと石を落としていった。朝、平集落の手前でシカ2頭に出会ったのでシカかなと思い見上げるとサルである。立ち止まってこちらを見ている。それからしばらくしてやや大きな石が2・3個落ちてきた。逃げて行く足音は聞こえないのに石が落ちてきたのはサルが落としたとしか思えなかった。以後上からの落石に注意しながら登って行く。
少し進むと次は高さ2m程のトンネル口のような横穴を見つけ立ち寄ってみる。黒蔵の谷へ行ったときにあったトロッコのトンネルのようであるがと中を覗いてみる。少し入ったところで右に曲がって中へ進んで行かないと見えない。ヘッドライトを出すのも面倒なのでそのまま少し入ってみるが、後ろで何かの気配を感じて振り返る。何もない・・・・・。
ん・・・、これは入っては良くないと思いすぐに外の明るいところへ出る。
気を取り直して出発をする。しばらく歩いて行くと枝沢に出た。このまま静閑瀞の上流まで歩いて地図に出ている道をたどるつもりであったが時間がかかり過ぎると思い地図(5万分の1)で確認すると山頂の下の方に来ていると思われたのでここから直登することにする。
沢が二股に分かれている間の岩稜に取り付き急傾斜を登って行く。雪彦山へ行ったときに岩場へたどり着くまでに急傾斜地を歩いたことがあったが、似たような場所であった。
50mほど登ると岩稜も終わり植林地帯になった。はじめは良かったが途中から間伐した木が行く手をふさいで歩きにくい。上を越えたり下をくぐったり、枝をへし折りながら進んだりとたいへんである。
なおも進んで行くと道があらわれた。最近も使っているようなしっかりした道である。左へ緩やかに登っているようである。地図で見たところこの上の方がピークと思われたので道を通らず直登するか迷ったが、ブッシュがきつく直登は困難と判断して、尾根が右へ下がっているので道を右へ進んで尾根へあがれる場所を見つけようと進む。少し行くと尾根へあがれそうな場所を見つけそちらへ登って行く。
尾根からは周りの眺望も開け赤倉岳方向が見えている。目の前のピークを目指して登って行く。ところがたどり着いてみると前にもっと高いピークが見えてくる。またそこを目指して進んで行く。やっと着いた。ここからは赤倉岳の南壁もよく見え大塔山や周りの山々を写真に収める。
そして三角点を探すが見つからない。前へ行ったり後ろへ戻ったり探してみるが、三角点は一番高い場所にあるはずなので木の根に取り込まれていないかと調べてみるが見つからない。仕方がないのであきらめて景色のいい食事をする場所を探すことにする。
尾根を左回りに回って静閑瀞の上流部を通って行こうと思っていたので前へ進む。少し下って行くと道へ出た。尾根で峠になっていて景色もいいのでここで昼食にすることにする。食事を済ませてお茶を飲みながら三角点が見つから無いことにすっきりしないものを感じ、もう一度戻って探してみることにする。
くまなく探してみるがどうしても見つからない。もしかしたらここは三角点の無いピークなのかも。とか思ったりもしたがふと木へ登ってみるかと思い立った。樹林帯で見通しのきかない場所で道に迷ったときによく使う方法である。ウバメガシのいい木があったので登ってみる。頂上近くまで登って辺りを見回すとかなり離れた先にここよりも少し高そうな場所を見つけた。距離が離れすぎているので違う山かもしれないが行ってみることにする。
少し進むとまた道が現れた。そしてそこに文字は消えかけているが登山グループが書いたと思われるような道しるべがあった。ここが正しいルートのようである。そこから尾根を登って前のピークを目指す。やっとピークへたどり着いた。そしてここには三角点と大倉畑山の表示板もあったが、表示板はかなり痛んだ板のみが残っているだけで、最近は登る人も少ないように感じられた。頂上直下に岩場があるようなのでそこを探しに少し降りてみると赤倉岳から大塔山方向に絶壁となった見晴らしのいい場所があった。きれいな樹林帯が眼下に広がった、パラグライダーで降りたら良さそうな開けた場所だった。
時間も経過したので周遊コースはあきらめて畝畑からの道を平集落方向へ下ることにする。この道は途中に岩場が点在し下を通るのが怖いような場所も何カ所かあった。静閑瀞の上の方になると思うがかなり傾斜のきつい山であった。歩いていると朝登るときに通った植林の上の道の同じ場所へきた。そうかここだったかと理解できた。しかし地図が5万分の1というのが失敗だった。ここのようなはっきりした道のない山は5万分の1の地図では無理だと感じた。
そこから少し下の尾根を左にきつく曲がったあたりで道が違う方向へ行くので仕方が無く道と分かれて尾根づたいに下ることにする。はじめは大きい木があって歩きやすかったがだんだんと木が若くなってきてブッシュ状になってきた。そのうちにサカキやヒサカキの植林のような場所になった。放置されて枝が茂り、かき分けて擦り傷だらけになりながら進む。さらに悪いことにシダが現れてきた。突破できないか試みたが先がまだ続いているようだし時間がかかりすぎる。仕方なく戻ることにする。少し戻ったところから右方向に進んでみる。シダよりはましだがツツジ類のブッシュの枝で擦り傷だらけになる。しかしどこも同じような状況なのでかまわず降りて行く。
50mか100mほどであったか、やっと木も大きくなって通りやすくなってきた。少し進むと道が出てきた。やれやれと思い右へ下がっているのでそちらの方へ進んで行く。トラロープがあったりして人の気配が感じられ心強くなってくる。さらに進んで尾根を回り込んだら前に炭焼き釜が見えてきた。え、ここは朝通った場所? よく見てみると同じ場所である。ということは帰るためには反対方向へ戻らないとだめである。
仕方なく戻ることにする。上へ登って行くので帰り道から遠ざかって行くようであるが仕方がない。まあ最初の渡渉点あたりの上へ来たら下へ降りればいいと道を通って行く。尾根は道が無くても歩くのはたいして変わらない早さで歩けるが、それ以外の場所は木をよけながら歩くのと道とではかなり差があるように思う。やっぱり道は楽である。もうそろそろいいかなと思う地点で降下にかかる。川沿いは岩壁になっている部分が多く降りやすそうな方向へと移動しながら降りて行くとちょうどいい尾根へ出た。ここを少し下っていると道らしきものが現れてきた。これを下ると川へすぐだった。たぶん吊り橋があった場所かなと思って周りを見回すが朝に見た錆びたワイヤーは見あたらない。
下流も上流も岩壁にじゃまをされて移動できないし、もう一度山へ登って偵察するのも時間の無駄なような気がする。朝の場所とそう遠くはないはずだし対岸の景色も平らな植林地が上の方に見えて平集落あたりだと思われるのでここで渡渉して対岸へわたって道を探すことにする。
靴を脱いで対岸へわたり、顔を洗って少し休憩をする。先の見通せない樹林帯で道も判然とせず緊張しながら休憩もせず夢中で歩いてきた。まだ不安は残っているが平集落は水田跡の石垣がたくさん残っているからどこかで石垣を見つければそれをたどって集落跡へたどり着けるだろうと思った。靴を履いて出発しようとすると靴にダニが着いていた。かなり大きくデナさんが赤倉で被害にあったのはこれだなと思った。振り回してもなかなか離れず引き離してやっと離れてもらった。危ないところだった。ついでにあちこち被害がないか確認してみたが大丈夫のようであったが、風呂へ入ったらよく確認しようと思った。
小さい谷があって水が流れ落ちていたのでここは平集落からの水の落ちている場所と推測し、ここを遡れば良かろうと右側を登って行く。すぐに植林地帯となり石垣も見つかった。そして見覚えのある道を見つけ安堵した。あとは集落跡前を通って登り返せば車へたどり着ける。
集落跡に大きなトチノキがあり足下の地面に置かれた朽ちかけた看板には1300年の樹齢と書いてあった。いつ頃まで住民が住んでいたのかわからないが水田跡に植えられた植林は30年以上は経っているのだろうか。一軒残っていた家の中に毛布のような物がかけて干してありガラス戸の隙間から見えていたが、干したまま出かけてまた戻ってくるのであろうか・・・。その家の前の畑が草もあまり生えずに残っていたので、子孫の方が時々様子を見に帰ってきているのであろうか。いずれにしても時間の経過とともにまた自然にかえって行くようである。
長い年月ここで暮らしていた人たちに思いをはせながら石段を登って行く。
レッドデータとなって行く山里の姿があるような気がした。
標高が774mの山なのでハイキング気分で下調べもあまりせずに行って苦労した。
まあネットで調べても何もなかったから仕方がないが。
それに未知の山だから行ったわけだし。
今回の反省点は登山道が整備されていない山はまず地図は25000分の1でないとだめであると感じた。
それから地図に書いてある道は消えてしまったり崩壊で途切れてしまったりしていることがあるが、尾根や沢のような地形は正しいから、おかしいと思ったら自分が間違っていると考えるべきである。あるはずの三角点が無いというのは自分が間違った場所に来ていると言うことである。
道に迷ったと思ったら見覚えのある地図上で確認できる場所まで戻るのがよいが、今回のような目印となるものが少ないような山は尾根へ登り、そこでもわからなかったらピークへ登り周囲を観察すれば位置確認はできる。樹林で見渡せない場所では木登りは磁石よりも有効であると私は考えている。
以前に山歩きを始めた初期の頃磁石で方向を間違いひどいめにあったことがあった。そのとき木登りでピンチを切り抜けてから尾根やピークを目で確認するのが一番確実で間違いのない方法であると思っている。霧でほかに手段が無い場合は磁石を使うだろうが地図上で位置確認が確実にできる地点からでないと磁石を使っても無意味であると思う。
地形の特徴は少し歩けばわかるが、樹林帯はそこへいってみないとわからない場合が多い。スギ・ヒノキの植林地はだいたいは歩きやすいが今回のように間伐した木がある場所はできれば避けた方がよい。とくに大きめの木で枝が枯れていない場合は何倍も時間がかかるし体力を消耗するから違うルートを探した方がよい。
サカキやヒサカキの植林地は時々出会うことがあるがここも避けた方がよい。下から枝がしっかりついているので擦り傷だらけになる。
で、一番悪いのは濃いシダの茂った場所である。少しの区間だからと突っ込んで行くととんでもないことになる。上から降りて行く場合はラッセルというか体重で押しつぶしながら通れないことはないが登る場合はほぼ不可能。木でもあればそれに掴まって体を引っ張り上げるが少しの距離でもへとへとになってしまう。それにその近くにはサルトリイバラのようなトゲのある植物も多く傷だらけになる。シダを前方に見つけたら迷わずルート変更をすべきである。
山は高くても易しい山もあるし低くても難しい山もあると感じた次第です。
特に大塔山周辺の山は高さは低くても谷が深く切れ込んでいて急傾斜地が多く注意を要する場所もある。
樹林地も密度の高い樹林地が多く見通しが利かないし通行も困難な場合が多い。道があれば良いがそうでない場合は注意が必要であると感じた。
でもここで鍛えておけば他へいったとき易しく感じるかもしれない。(実は次の山行でそうなった。 近日中にこれもアップします。)
体力的にもへとへとになったし、精神的にも最後まで気の抜けないきつい山だったが、身に付いたものも多かった勉強になった山でした。
(フォレスト 記)
赤線・・・計画ルート
黒線・・・実施ルート