(メンバー) forest
(コースタイム) 大川口6:45~9:00バリゴヤノ頭9:30~10:50稲村ヶ岳12:00~13:20神童子谷~14:20神童子谷 車道終点~14:50大川口
去年 大普賢岳から七曜岳まで歩いたとき目の前に見えるバリゴヤノ頭の、ノコギリの刃のような凹凸のあるピークと変わった名前が強く印象に残った。ネットで調べてみると稲村ヶ岳からピストンで訪れている記録が多く、今回は記録が少なく未知の部分が多い大川口から登ってみようと思った。
前夜 大川口で車中泊をして、6時45分駐車スペース脇の踏み跡から取り付いた。植林の中の一本道の尾根を赤いテープに導かれて登っていくと、1368mのピークのあたりで岩場が現れてきた。ここはそれほど難しくはなく直登し木につかまりながら越えて行く。傾斜はきついが迷うような所はなく岩場もたいしたことはない。どんどん登って行く。
しかし、頂上に近いところでついに難所が現れてきた。バリゴヤノⅠ峰(呼び名がわからないので仮称)か。赤いテープにも行き止まりと書いてある。岩場をよく観察してみると右手に溝状になったところここならいけると思った。5m程岩場を登るとあとは木につかまりながらのクライミングとなった。
Ⅰ峰のピークを過ぎて鞍部に下ると次はⅡ峰が待っていた。ここが今回一番険しい場所であった。直登は無理と判断して左を巻く。途中から登れそうなところを見つけて越えて行く。ピークを越えてもう少しで鞍部というところで行き詰まってしまった。ロープがあれば岩場を降りられるが持っていないので少し戻ったところから木登りでハングを下る。木につかまってぶらんとなったが軽荷だし足の乗せられる所を見つけて慎重に降りる。最後に岩場の草付きをトラバースして鞍部に降りる。写真で見てもこのⅡ峰が一番立っているように見える。
次はすぐ目の前にⅢ峰が待っている。少し疲れてきたので体力の温存を考えて右を巻くことにする。最後にガレ場を下って鞍部に着く。次のⅣ峰は簡単なので直登し ピークを越えて少し下ったあとゆるやかに登って行って枯れ木が何本か立っているところを過ぎるとバリゴヤノ頭に着いた。
頂上には奈良岳連の40周年登山に大川口から登頂というようなプレートがあったりして、マイナーながら知る人は知るという山かなと思った。頂上へ着いたのが9時なので大川口から2時間15分ほどであったが、単独で休憩もあまりしなかったので予定よりも早く着いた。鉄山から下ってくるsinさんやtuneさん達と4時に大川口で待ち合わせの約束をしていて時間が余りすぎるので予定を変更して稲村ヶ岳まで行くことにする。
バリゴヤノ頭から急傾斜を木につかまりながら降りたあと、ゆるやかな緑のカーペットのような笹の中を癒されながら登ったり降りたりしながらドンブリ辻に着く。ここからまた傾斜はきつくなるが我慢して登って行くと風に乗って人の気配が。言葉がとぎれとぎれに聞こえてくる。一人で歩いているといつも思うのだが、視覚・聴覚・臭覚・・などが鋭くなるのかな。五感を研ぎ澄ませて危険に対処しようとしていたのが人の気配を感じたとたんに弛緩してしまった。でも緊張から解き放たれて落ち着いた気分になった。
稲村ヶ岳の展望台に登って歩いてきた道を振り返ってみる。ここから眺めるバリゴヤは穏やかな姿だが、七曜岳から見えるのが本当の姿かなと歩き終わった今思う。今年の春に山上ヶ岳から稲村ヶ岳へ登ったときに見た同じ景色が今回は感慨深く思えた。
ここで快晴の中360度の景色を楽しむ。山上ヶ岳から大普賢岳・行者還岳・弥山とtuneさん達はここを歩いているのか、携帯電話が使えれば今どこか聞いてみたい気もするが残念ながらここは圏外である。11時30分を過ぎてきたので昼食の食べられる場所を探すことにする。南東尾根を神童子谷へ下る予定なのでそちらの方へ降りて行く。10分ほど降りた場所で昼食を済ませ、12時に出発する。
急傾斜のやせ尾根を降りて行くと根上がりのヒノキやツガが生えている。だいたい元の地盤から50cmから1mほど土が浸食されて根上がりとなっているようである。稜線から少し低い位置であるために台風の被害を受けることなく今も命を保ってこのような景観を見せているのだろう。熊が入れそうな穴のあいた木や根の下をイノシシでも通れそうなトンネルを持った木など見飽きることがない。低木はシャクナゲが多く花が咲いたときは見事だろうが、通行するのに骨が折れる。途中傾斜がゆるんだ場所もあったがだいたいは木につかまりながら神童子谷まで降りた。
神童子谷に降りてからは左岸を車道の終点まで歩いた。薮こぎや朽ち果てる寸前の桟道を歩いたりして最後の方は鉄製の桟道が川の中にあってちょっと驚いた。あとは車道を大川口まで渓谷美を楽しみながら歩いた。2時50分に大川口へ着いてsinさんやtuneさん達が降りてくるのを待った。3時半頃 皆さんが降りてこられたので挨拶をして帰途についた。
未知の部分が多く不安も大きかった目的の山へ 天候にも恵まれて無事登れて満足度の高い一日であった。